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耐震等級とは?

こんにちは。

待ち望んだ春と共に花粉がやってきました。今年の花粉はキツいですね。

私はマスクが手放せない。みなさまは大丈夫でしょうか?

 

今回は「耐震等級って、どうやって造るの?」

よく頂く質問なので、私たちが耐震等級を取得する方法をご紹介しようと思います。

 

耐震等級は、1・2・3の3段階。

耐震等級1は、建築基準法に基づいて計算することができます。

耐震等級2・3は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」。

長いので「品確法」と略される法律に基づいて計算します。

 

耐震等級1。

建築基準法で要求される「壁量」、「壁の配置」、「接合部」、「基礎」の設計を確認します。

「壁量」とは、耐力壁の量。壁倍率と壁長で確認します。

「壁量」は床面積に屋根の重さごとに異なる係数を掛けることで算出されます。

例えば、平屋の30㎡に軽い屋根(係数11)なら、要求される壁量は3.3m。

柱間の距離が91cmの壁に、筋違い(壁倍率2倍)が1本なら、壁長は182cmです。

 

「壁の配置」は「4分割法」、又は「偏心率」で確認します。

「4分割法」は読んで字のごとく建物を1/4に分割し、それぞれ壁の配置を確認します。

偏心を簡易に確認できるらしいのですが、私はやった事がないのでよく解りません。

「偏心率」は、建物の「重心」と耐力壁の配置の中心「剛心」がどれだけ近いか?を確認します。

建物で「やじろべえ」をする感じです。重心の上に家が乗っていて、耐力壁がオモリでバランスを取っていくような方法です。

CADを使用して確認していますが、毎回限りなく偏心率0を目指して設計しています。

 

「接合部」は、柱の頭と脚の引き抜き力を確認します。

国土交通省の「告示」による確認と「N値計算」での確認、2種類の方法があります。

ここで言う引き抜き力とは、耐力壁の強さと、地震や風などの横方向にかかる力によって柱が抜けてしまわないか?これを確認しています。

耐力壁が強い(壁倍率が高い)と柱にかかる引き抜きも強くなります。

「告示」による確認は余力が大きすぎる為、あまり一般的ではありません。

柱に取り付ける金物費がかさむ事、その引き抜き力に対応した基礎が必要になる事。

この2つがデメリットで、コストが上がってしまうのが原因でしょう。主に「N値計算」を使用して確認されます。

N値のNはニュートン。柱にかかる引き抜き力を、耐力壁の倍率の差をもとに上下階共に計算する方法です。

筋違いの圧縮と引っ張りの効果の違いまで考慮する詳細計算、こちらもCADを使用して計算していきます。

 

「基礎」の確認。

「木造軸組工法住宅の横架材及び基礎のスパン表」、又は「木造軸組工法住宅の許容応力度設計」。

共に「公益財団法人 日本住宅・木材技術センター」発行の書籍に基づいて確認します。

「公益財団法人 日本住宅・木材技術センター」は、日本の建築指針において最高峰の機関です。

さまざまな大臣認定や、国が発信する「告示」も、ここで試験した後、試験結果を国交省で検討され認可されます。

スパン表には、想定される基礎や横架材のさまざまな形状の設計指針が記載されていて、実際に設計した建物の形状にあてはまるものを確認、チェックしていきます。

簡易と言われていますが、大変な作業のわりにアナログな方法で変更の対応が難しく、安心できないため私達は採用していません。

「木造軸組工法住宅の許容応力度設計」を用いた許容応力度設計を採用しています。

 

以上が建築基準法で要求される耐震等級1の確認です。

 

耐震等級2・3の「品確法」では、ここまでの確認に加えて「床倍率」と「横架材」の確認が追加。

目標等級ごとに要求される「壁量」が変わり、屋根の重さごとに異なる係数もより厳しく、積雪も考慮されます。

浜松市は雪がほぼ降りませんが、多雪地域での耐震等級取得はハードルが高い印象です。

「壁量」は等級2で基準法×1.25倍、等級3は基準法×1.5倍に増加。

軽減措置として凖耐力壁(窓の上下や内壁など)の算入が可能ですが、現場の施工まで考えると現実的ではないため、私達は採用していません。

床面積は「基準法」が延べ床面積だったのに対し、「品確法」は見上げ(下から上階を見た)面積となるため、より多くの面積が対象になります。

地域ごとに異なる地震係数「Z」、地域基準風速「Vo」も考慮され、より詳細な確認が必要です。

浜松市の地震係数「Z」は日本一厳しい「1.2」、地域基準風速「Vo」は「32」。

最も厳しい「Vo」は鹿児島、沖縄の「46」、台風が頻繁な地域ならではですね。

屋根の重さごとに異なる係数は「基準法」が6種類に対し、「品確法」は24種類。多いので今回は割愛しますね。

 

「床倍率」とは?

「品確法」では、強い床を強い壁で支える証明が要求されます。

例えば、使い終わったティッシュの箱を裏返して、その真ん中部分を指で押すとへこみます。

これが家の2階の床だとしたらどうでしょうか?へこんでもらったら困りますよね。

そんな事が無いように強度を確認するのが床倍率で、へこまないように支えるのが基準を満たした耐力壁で造る耐力壁線です。

耐力壁線は、建物の縦・横方向×0.6以上の壁長、かつ4m以上と定義されています。

シンプルに言ってしまうと、家を箱として考えて、強い床を強い壁が支える強度を証明するのが耐震等級ですね。

 

「横架材」の確認。

「横架材」というと分かりにくいのですが、家の骨組みのことです。

柱とか梁ですね。構造材と言ったほうが良いでしょうか?

「品確法」では構造材の接合、応力に対する強度の証明が要求されます。

ここでも基礎の確認でご紹介した「木造軸組工法住宅の横架材及び基礎のスパン表」、又は「木造軸組工法住宅の許容応力度設計」が使用されます。

ここも私たちは許容応力度設計を採用しています。

許容応力度計算と難しく言われますが、簡単に言うと材料にかかる応力(力)を、その部材が許容するか?その確認を行います。

その材料で大丈夫なのか?の確認です。

1階のLDKが広いけど、2階は部屋が多くて壁を通じて床梁にかかる力が多いなぁ。

床を支える梁の強さは大丈夫だろうか?って感じですね。

ここで注意しなければならないのは、あくまで縦方向の荷重しか検討されない事。横方向の力は壁量でのみ検討されます。

個人的な感覚ですと、1階に個室を造って壁で支える、2階が大きなLDKの方が構造的には安心ですね。

屋根の荷重だけ支えれば良いし、高い所に大きな窓を造れば見晴らしも良いのでは?

なかなか理解されないですが・・、脱線しましたね。失礼しました。

 

構造材の「接合」の確認。

梁・桁の接合(金物での緊結)をチェックします。

日本古来の伝統工法も、プレカット全盛の現代の工法も、許容応力度設計においては、どんなに手をかけた手法を用いたとしても評価されません。

「品確法」では、在来工法の仕口は部材の欠損として計算され、接合は取り付けられる金物のみで評価されます。

個人的に木造建築の伝統的な継ぎ手は美しく、素材を生かした手法だと思っているので残念ですが・・

そんな中で私達が採用しているのは金物工法です。ピン工法とか、メタルジョイント等と言われています。

メリットは?

構造材の欠損率が最小であること。構造材の接合金物がプレカット工場で生産されてくる事(現場施工のミスが無い)。

上棟時に全ての接合が完了するため、断熱と気密施工を密に行える、等がメリット。

デメリットは?

接合金物で少しコストアップ。

トータルで考えると、デメリットを上回るコストメリットがお客様にあると思います。

 

今回は耐震等級について、あえてテキストのみでお伝えしましたがいかがだったでしょうか?

最後にまとめますと、建築基準法は日本建築の最低基準。品確法も未だ発展途上な法律です。

震災が起こるたびに改訂され変化しています。

あの交差点って、あぶないよね。って言われ続けて事故が起きないと信号が設置されないのと同じです。

 

私達が設計するプランが現実になる時は、全て耐震等級3の性能を持っています。

お客様が望まれる際は、第3者機関による性能評価を受け、長期優良住宅の申請も可能です。

プラン決定~耐震性能計算~長期優良住宅申請~申請許可~着工。の流れです。

 

私達は耐震性能とコストバランスを考え、現在の工法がベストだと選択しています。

性能をワンストップでお客様へご提案、ETERNITYこだわりの一つです。